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経営管理概論

■企業の意味

経営学でいう企業とは、資本主義社会の中で経済活動を行う事業体となる。したがって、原則として
①何らかの財やサービスの提供
②営利性の追求
の2点がその行動基準となる。つまり、財やサービスが社会に循環する事で経済活動が行われ、企業の営利性に基づいて、富が分配されるのである。

■企業の社会的責任

企業の社会的責任とは、以下の3つである。

社会性 市場が欲する財やサービスを提供する事
公益性 企業に関係する利害関係者に利潤をバランスよく配分する事
公共性 社会の一員として社会規範を遵守する事

これらの社会的責任のうち、公益性と公共性については、さまざま議論がなされている。 例えば、将来の事業展開に備えて企業内に利潤を蓄積するという事を考えると、それが株式会社であれば、 短期的に株主(資金提供者)には利潤(配当)が配分されないということになる。 一方得られた利潤をそのつど分配していたのでは、企業への蓄えは実現できない。 このように考えると、企業の目的たる利潤は、いったいだれのものなのかという命題が出てくる。 このような命題は、コーポレートガバナンスと呼ばれる。

公共性について、従来における企業の社会的責任とは、法令等の社会規範の中で納税を行えば、 そのほかは利潤最大化の原理のみで行動しても、それが企業の存立目的に沿ったものであるとする考え方であった。 しかし、近年では「企業も社会を構成する一市民である(コーポレートシチズン)」とする考え方が出てきた。

このような考え方から、企業に対して経済的活動のみならず倫理活動も求めるようになった。 このような倫理的活動の代表的なものとしてメセナやフィナンソロピーがある

メセナ 文化支援活動を意味し、地元地域における音楽・美術等の各種催事の支援等が該当する。
フィナンソロピー 慈善活動を意味し、地域に対するボランティア活動への支援などが該当する。

企業の社会的責任には、肯定論と否定論がある。

①肯定論:営利性を追求する企業であっても地域に密着した活動の中で利潤を得ているので、地域の直接、間接的な協力なくして企業は円滑に継続できない。 したがって、企業はその利潤を地域(社会)に還元する必要があるとする論拠である。

②否定論:営利性を追求するのが企業も目的であって、営利性以外の分野に対して責任を負わせることは適切ではないとする考え方である。 これは、営利追求以外の部分に責任を負わせると、それだけ企業本来の効率が低下するという論拠である。

以上のように、企業の社会的責任の解釈はさまざまであるが、労働者の多くが企業に属し、また、個々の企業も地域との関連も深い事から、社会性、公益性、公共性のバランスを追求する事が、企業に課された社会的責任として理解される。

■現代企業の本質

①企業は社会システムの一機関である。
コーポレートシチズンという考え方に基づくものであり、企業活動の範囲として営利追求のみにとどまらず、社会の一員として諸活動を行うべきとするもの。

②企業はゴーイングコンサーンであり、永久的に存続しなければならない。
企業は多くのステークホルダーに支えられており、また、企業と社会は互いに恩恵を授受する関係である事から、永久的に存続しなければならないとする考え方。

③企業は営利目的として最適利潤を追求すべきである。
ステークホルダーとの利益バランスを考えると、おのずと企業は最適利潤の追求になるというもの。ドラッカーは、『現在および将来における事業の創造・変革に対するリスクに対応するためのものであり、将来の費用である』と説いている。

■コーポレートガバナンス

経営者による企業支配は巨大企業を利潤動機から解放し、より公共性の高い存在に転換させる。 これは、企業が巨大になればなるほど専門の経営者に企業経営を委託せざるを得ず、経営者の地位がおのずと高まるという事を意味している。

コーポレートガバナンスとは企業当時を意味し、「企業はだれのものか」という事である。経営者は得られた利益を将来の為に貯めようとするが、株主は年度ごとに配当として要求するので、両者の利害は対立しやすい。
コーポレートガバナンスは、日本とアメリカでそのとらえ方が違う。

アメリカ型コーポレートガバナンス

①株主主義であり、取締役が株主の意向に沿って経営者を選任する。
②社内外に広く経営者候補が存在する。
③利益配分は配当と市場取引である。

日本型コーポレートガバナンス

①株主の持ち合いによる安定株主の比率が高い。
②社内からの内部昇格者による取締役が一般的である。
③メインバンクが経営に関与するケースが多い。

アメリカ型と日本型のどちらが正しいかという議論はできないが、少なくとも日本に企業は、社外取締役を採用する事や企業情報を積極的に開示する事、株主総会の機能強化など株主主権のウェイトを高める事が求められる。
また、メインバンクの存在などについては、デット・エクイティ・スワップ(負債による現物出資)による株主資本化などにより、より直接的に経営に参画させることも考えられる。

■経営管理

ファヨールは、①計画する、②組織化する、③命令する、④調整する、⑤統制するの5つが、経営管理活動であると説いた。
このうち④の調整する以外を時系列に並べてマネジメントサイクルと呼んでいる。

■サイモンの意思決定論

サイモンは、意思決定の前提として、価値前提事実前提の2つを用いて理論を説いている。

価値前提とは目的価値の設定を意味し、企業活動にあてはめると、全ての人の価値基準に適合する意思決定案を模索しようとするものである。

事実前提とは手段の設定を意味し、企業活動にあてはめると、意思決定の対象物に関するすべての事実を収集・検証し、その中から最良の案を選択しようとするものである。

しかし、すべての人の価値基準に適合する意思決定案は存在せず、また、意思決定の対象物に関する全ての情報についても収集する事は出来ない。
このように、サイモンは価値前提や事実前提に基づく意思決定には限界がある為、限られた情報や選択肢の範囲内で満足できる案を採択する事が意思決定の本質であると説いた。
限られた情報や選択肢の事を「限られた合理性」といい、その中で満足できる案を採択する事を、「満足化原理」という。

また、サイモンは意思決定のプロセスを以下の3段階で定義した。

情報活動 意思決定に必要な情報を収集する。このときには、意思決定に参画するものが共通の「限られた合理性」の範囲を認識しておかなければならない。
設計活動 収集した情報に基づいて、可能な代替案を策定する。
選択活動 満足化原理に照らして、代替案の中から意思決定案を採択する。

■階層別意思決定

アンゾフの意思決定階層モデル

戦略的意思決定 取締役などのトップマネジメントによる意思決定であり、多角化やM&Aなど非定型的な内容がほとんどである。
管理的意思決定 中間管理職などミドルマネジメントによる意思決定であり、戦略的な内容を現場の行動指針に落とし込むといった、非定型的内容と定形的内容との調整が多い。
業務的意思決定 末端の現場における職長や一般従業員など、ロワーマネジメントによる意思決定であり、具体的な販売計画や生産管理など日常業務に関連する定型的な内容が多い。

■経営計画

  • ①総合計画と部門計画:計画対象領域による分類である。全社を対象としたものと、各部門を対象としたものでは、当然にその内容は異なる。
  • ②期間計画と個別計画:時間と内容による分類である。期間計画は月度計画や年度計画といったものであり、個別計画とはプロジェクトや課題の内容の違いによる計画である。
  • ③中期計画と短期計画:計画対象期間の違いによる分類である。経営環境の変化が激しい近年では、経営計画を3年程度の中期計画と、1年単位の短期計画でとらえるようになった。

■環境変化に対応する経営計画

環境変化への対応の方法として、ローリングプランコンティジェンシープランがある。
ローリングプランとは、3年程度の中期計画を立案しておき、その初年度の1年を短期計画として策定する。次に初年度の実績を参考に、翌年度からさらに3年間の中期計画を練り直すという方法である。
これに対してコンティンジェンシープランとは、不足事態対応計画といい、最も実行確率の高い基本計画とともに発生し得る不足事態に備えた別の計画もあらかじめ立案しておき、実際に不測の事態が発生したときに、別の計画を選択するというものである。
このように、近年の企業経営には、環境変化に柔軟かつ迅速に対応する事が求められる。そのためには、計画変更を意思決定する為に、いかにして統制をかけるかが重要となる。
この統制のあり方として、結果統制とプロセス統制がある。前者は、計画期間終了後にその内容を検証し、次期の計画を考えるものである。後者は、実行過程の途中で検証し、ズレが生じていればそのつど計画に近づけていくものである。

■グローバル戦略の分類

企業のグローバル戦略には、①トランスナショナル企業論メタナショナル企業モデルという考え方がる。
トランスナショナル企業論とは、グローバル統合、ローカル適応、グローバル知識開発の3点のバランスを取るという考え方であり、経営資源や人的能力を本国に集中させ、その成果を世界規模で活用しようとするものである。
メタナショナル企業モデルとは、知識情報化社会を前提としたモデルであり、製品の核技術や知識の創造について、グローバルな探索、融合、生産等を行うものである。

■グローバル戦略の理由

成長機会の追求 自国以外の地域における新しい市場の獲得とともに、製品ライフサイクルの時間的なズレを利用する動機。
リスク分散 多くの国や地域で事業を同時進行させておき、一つの国や地域の経済環境等が大きく変化した時の影響を補完しようとする動機。
低コスト生産要素の確保 自国で高コスト構造となった生産等を海外に移転させる事で収益を確保しようとする動機。

■グローバル戦略の留意点

市場的要因 取引慣行や市場構造、所得水準の違いなど。
政治的要因 劇的な政権交代や軍事的な要素など。
文化的要因 その国独特の文化、宗教の違いなど。

②のような政治的要因を「カントリーリスク」という。③のような文化的要因を「異文化インターフェース」という。
企業はこのような留意点を充分に検討し、フィージビリティスタディ(実行可能性調査)を行った上で、グローバル戦略を策定しなければならない。


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