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経営分析

■経営分析の意義と方法

■経営分析の意味とその種類

財務諸表を中心としたデータより、その企業の経営内容を把握しようとする分析技法を経営分析という。財務諸表は、法的な側面からは投資家、債権者などの外部の利害関係者に経営内容を報告する目的で会計法規に強制されながら作成される。しかし、財務諸表は、経営活動の結果御表わしている事から、経営内部に対して意思決定のための有益な情報を提供するものでもある。このように経営分析は様々な立場から様々な目的で行われ、その種類には外部分析と内部分析がある。

外部分析
債権者、投資家、税務当局などの外部の利害関係者が自らの利益を維持する為に分析するものである。

内部分析
経営管理者やそのスタッフが自社の経営活動の合理性を追求するために行う分析である。

■外部分析

信用分析
銀行が企業に融資したり、企業が販売先に対して信用取引を行う場合に必要な分析で、債権者が自社の債権を保全する事が基本目的となる。一般に信用力の分析が主眼となる為流動性・安全性分析が中心となる。

投資分析
投資家が特定企業への投資やその離脱を判断する為に、当該企業について分析するもので、自己資本利益率、株価収益率、配当性向、配当利回りなど収益性や配当に関する分析が中心となる。

税務分析
企業の納税は自己申告によって行われるが、それが正しく申告されているかを判断する為に税務当局が分析するもので、所得計算やその基礎となる会計資料の分析や、税額計算の適否について分析する。

■内部分析

意義
経営内部の関係者が、経営改善を目的として財務諸表を中心とした分析を行う事をいう。

分析領域

収益性分析 どの程度収益力(利益を上げる力)を有しているかを分析する。
流動性分析 どの程度資金状況や財務基盤が安定しているかを分析する。
生産性分析 どの程度付加価値を得ているか、その配分が適正かを分析する。
成長性分析 売上高や利益等がどの程度伸びているかを分析する。

企業がゴーイングコンサーン(継続企業)として活動し続けるためには、将来の環境変化等のリスクに対応できるだけの利益を蓄積すること、日々の支払いがきちんとできること、重要となる。したがって、一般に内部分析において重視されるのは、収益性分析と流動性分析の2つである。

手順

指標の計算 分析目的に応じて財務指標を選択し、その比率の計算を行う。
指標の評価 計算された各指標を基準と比較して評価する。
 ・標準比較法:同業種・同規模の標準指標と比較して評価する。
 ・期間比較法:当該企業の指標を時系列的に分析して評価する。
 ・相互比較法:特定の企業の財務比率と比較して評価する。
総合的判断 総合的に勘案しながら経営活動そのものを評価する。

留意点
経営分析は基本的に財務諸表の分析が中心となるが、財務諸表だけで企業のすべてがわかるわけではない。企業の財務指標等に表わされる数値は企業のあらゆる活動の最終結果ではあるが、そうなった原因の詳細を数値のみで類推する事は困難である。特に貸借対照表の数値は期末時点の残高を示すのみで、期中の平均的な値を表わしている訳ではない。また、財務諸表作成の際の会計処理の手法は一定の幅の中から選択する事が可能である為、こうした点も考慮する必要がある。経営者の資質や能力、従業員の能力やモラル、技術力・企画力やノウハウ、労使関係の良否、企業風土や含み資産等の簿外資産・債務の存在、貸借対照表の残高と期中平均のかい離などの合わせて総合的に判断する。

■収益性分析

■資本利益率の意味

収益性分析は、その企業がいかに効率的に利益を得ているかの分析であり、一般に資本利益率から把握される。資本利益率とは、その企業が利益を得る為にどの程度資本を使用しているかを意味する。ROI(Return On Investment:投資利益率)の概念の一種である。
資本利益率を指標計算の公式から見ると、売上高利益率と資本回転率との積となる。従って、収益性を高めるということは、資本利益率を高める事を意味する。具体的には、①一定の売上高に対して、いかに利益を多く獲得するか。②一定の資本(資産)に対して、いかに売上高を上げるか。の2つの方法によって資本利益率を高める事が出来る。

■資本利益率の種類

総資本経常利益率(ROA:Return On Asset)
経営活動全体に投下された総資本(純資産:資産合計)に対して、経常的な経営活動の成果である経常利益が、どの程度得られているかの指標で、企業の全体活動から収益性を分析する場合に使用される。
 総資本経常利益率 = 経常利益 / 総資本 × 100(%)
経営資本営業利益率
主たる営業活動に対して投下された資本である経営資本に対して、その活動からの利益である営業利益がどの程度得られているかの指標であり、その企業の本来的な事業活動からの収益性を示すものである。
 経営資本営業利益率 = 営業利益 / 経営資本 × 100(%)
自己資本当期純利益率(ROE:Return On Equity)
自己資本に対して、当期純利益がどの程度得られているかを示しているもので、株主やオーナー経営者にとって重視されている指標である。
 自己資本当期純利益率 = 当期純利益 / 自己資本 × 100(%)

■資本利益率の展開

収益性分析では、まず資本利益率が分析され、さらにその2大要素である売上高利益率資本回転率に分解して分析する。売上高利益率は売上高と利益の関係を表わしたものであり、損益計算書の分析がなされる。資本回転率は売上高と資産の関係を示したものであり、貸借対照表における各資産の回転率の分析がなされることになる。

■売上高利益率の展開

売上高経常利益率
売上高にたいする経常利益の割合を示すもので、これが低い場合は、売上高と経常利益の差額である売上原価、販売費及び一般管理費、営業外損益が大きい事を示し、いずれの費用要素が問題かを分析する事になる。
 売上高経常利益率 = 経常利益 / 売上高 × 100(%)
売上高総利益率・売上高売上原価率
売上高総利益率は、売上高に対する売上総利益の割合を示し、高いほど取り扱っている製品・商品の利益率が高い事になる。これが低い場合は、売価に対して仕入原価や製造原価が高い場合が多く、その原因分析を行う事になる。
 売上高総利益率 = 売上総利益 / 売上高 × 100(%)
 売上高売上原価率 = 売上原価 / 売上高 × 100(%)
売上高営業利益率・売上高販管費率
売上高営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示し、高いほど事業活動からの利益率が高い事になる。この比率が低く、かつ売上総利益率に問題が無ければ販売費及び一般管理費が大きい事になり、売上高管費率を分析する事になる。
 売上高営業利益率 = 営業利益 / 売上高 × 100(%)
 売上高販管費率 = 販売費及び一般管理費 / 売上高 × 100(%)
売上高純金利負担率
売上高営業利益率は問題ないが経常利益率が低い場合は、営業外損益が大きい事になる。この場合は金利負担が重い事が多い。それらを明らかにする為の指標が、売上高純金利負担率である。なお、この計算に際しては支払利息から受取利息を差し引いて計算する。
 売上高純金利負担率 =(支払利息-受取利息) / 売上高 × 100(%)

■資本回転率の展開

総資本回転率
総資本が何倍の売上を獲得するのに貢献したか、つまり総資本の利用効率を示すものである。この総資本回転率が低い場合は、総資本の構成要素である流動資産、固定資産をさらにしょうさいに分析していく事になる。
 総資本回転率 = 売上高 / 総資本(回)
流動資産回転率
流動資産の活動効率を示しすもので、高いほどその効率が良い事になる。これが低い場合には売上高に対して流動資産が多すぎる事を示し、流動資産の主要項目である棚卸資産回転率や売上債権回転率を分析する事になる。
 流動資産回転率 = 売上高 / 流動資産(回)
売上債権回転率
これは売上債権の回収効率を示し、高いほど売上債権の回収が早い事になる。逆にこれが低い場合は回収が遅かったり、不良債権の可能性が考えられる。また、この回転率の逆数を売上債権回転期間といい、平均的に売上債権がどの程度の期間で回収されているかを表わしている。
 売上債権 = 受取手形 + 売掛金(割引手形と裏書譲渡手形を含む場合あり)
 売上債権回転率 = 売上高 / 売上債権(回)
 売上債権回転期間 = 売上債権 / (売上年間高÷12)(月)
棚卸資産回転率
棚卸資産の活性度を示すもので、高いほど棚卸資産が活発に動いている事になる。これは、さらに製品、仕掛品、原材料の回転率に分解される。
 棚卸資産回転率 = 売上高 / 棚卸資産(回)
固定資産回転率
固定資産の利用効率を示している。これが低いと固定資産が有効に使われていない事を表わし、過剰設備投資、設備保全の不備、操業度低下による売上高の減少等の原因が考えられる。
 固定資産回転率 = 売上高 / 固定資産(回)

■流動性分析

■流動性の意義とその分析

企業は資金が枯渇すると存続が不可能となる。そのため、企業は必要とする資金を確保し、信用力を維持していくことが求められる。この状態を分析するものが流動性分析である。流動性分析は、次の様な視点から分析される。

短期の支払能力
年度単位、あるいは、より短期間における資金繰りとそれを支える支払い能力について分析するもので、流動比率、当座比率、手元流動性比率が代表的な指標となる。

資本の調達・運用の適合性
調達された資本が適正に運用されているかを分析するもので、とりわけ長期資金について行われる。固定比率や固定長期適合率が代表的な指標となる。

資本構成の安定性
その企業の資本構成の安定度を分析するもので、財務基盤の基礎を成すものである。自己資本比率が代表的な指標であるが、負債比率を分析する場合もある。

■短期の支払能力の分析

流動比率
短期に回収される資産である流動資産と、短期に返済義務を負う流動負債の比較から今後1年以内の資金繰りの状況を分析する指標である。これが100%未満であると、流動資産をもって流動負債を返済するのに支障をきたす危険性が増し、将来の資金繰りを悪化させる事につながることになる。従って、流動比率は最低でも100%を超えている事が支払能力の観点から必要となる。実際には、ある程度の余裕が求められ、120~150%程度は必要となる。
 流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100(%)
当座比率
流動比率の中でも比較的短期に回収される現金預金、受取手形、売掛金、有価証券等を当座資産といい、これと流動負債の割合を示した指標である。当座の支払能力を分析する為の指標である。当座比率は100%を超える事が望ましいとされており、これが低いと当座の支払い能力に欠け、当面の資金繰りに苦しむ事になる。
 当座比率 = 当座資産 / 流動負債 × 100(%)
手元流動性比率
手元流動性とは即時の支払手段となる現金及び短期の有価証券であり、これらが平均月商の何倍保有されているかを意味する。これが少ないと資金がショートする危険性を持っている事になる。一般には、少なくとも1ヶ月分は必要とされている。
 手元流動性比率 = (現金預金+有価証券) / (年間売上高÷12)(月)
インスタント・ガバレッジ・レシオ
利子補填倍率ともいわれ、企業の利息支払い能力を収益力の観点から分析するものであり、債券格付機関等が重視する指標である。これが大きいほど利息の支払い能力が高い事を意味する。
 インスタント・ガバレッジ・レシオ = 営業利益+受取利息+受取配当金 / 支払利息+手形売却損(倍)

■資本の調達・運用の適合性の分析

流動性を悪化させる原因のひとつに、調達した資本とその運用のバランスが悪い場合がある。例えば、設備資金を短期資金で調達したりすると流動性を急激に悪化させる事になる。このようなことを明らかにするのが資本の調達・運用の適合性の分析であり、具体的には固定比率と固定長期適合率がある。

固定比率
これは固定資産を自己資本でどの程度賄っているかを示し、低いほど良い指標である。理想的には自己資本で賄い切る(100%以下)ことであるが、我が国のきぎょうは固定資産を自己資本で充当する事は困難で、130%~170%というのが実態である。
 固定比率 = 固定資産 / 自己資本 × 100(%)
固定長期適合率
固定資産が、自己資本と長期にわたって返済する固定負債によってどの程度賄われているかを明らかにするための指標で、固定比率と同様に低いほど良い。わが国の企業では自己資本と固定負債によって固定資産を賄うケースが多く、70~80%程度が一般的である。
 固定長期適合率 = 固定資産 / (自己資本+固定負債) × 100(%)

■資本構成(資本の安定性)の分析

資本構成とは、調達側の資本のバランスを示している。企業の資本調達は、他人資本である負債と自己資本によって行われており、これがどの程度安定しているかを明らかにするのが資本構成の分析である。

自己資本比率
総資本に対する自己資本の割合を示す指標で、これが高いほど企業の財務基盤が安定する事になる。低いと外部からの資金調達能力が低くなると同時に、相対的に負債、とりわけ借入金が多くなって金利負担を増やすことになる。我が国企業の実態としては上場企業が30~40%程度、中小企業が20~30%程度となっており、優良企業ほど高く、不況業種ほど低くなっているのが実態である。企業の財務基盤の安定性という観点から30%程度は必要となる。
 自己資本比率 = 自己資本 / 総資本 × 100(%)
負債比率
負債と自己資本の割合を示す指標で、自己資本比率を補完するものである。分母の自己資本が大きいほど資本構成が良好なので、低いほど良い指標となる。
 負債比率 = 他人資本(負債) / 自己資本 × 100(%)

■生産性分析

生産性分析とは、その企業がどれぼど効率的に付加価値を生み出しているかを確認する分析体系である。ここでは、企業自らが生み出す付加価値を数値的にとらえ、その産出効率を測る指標を学ぶ。具体的には、人的資本(ヒト)の生産性の効率をみる労働生産性と、資本(モノ)の生産性をみる資本生産性等である。

■生産性と付加価値

付加価値とは、その企業が経営活動において”創造した価値”を意味し、自社における加工高を表わしている。一般的には、次の式で計算される。
 付加価値=経常利益+労務費+人件費+支払利息割引料-受取利息配当金+賃借料+租税公課+減価償却実施額

■付加価値生産性の分析

生産性分析の中心は付加価値生産性の分析である。これは一定の資源投入に対してどの程度の付加価値を得ているかを示すもので、資源投入の観点から、労働生産性と資本生産性が中心となる。

付加価値労働生産性
労働投入に対してどの程度の付加価値を上げているかを意味し、具体的には従業者1人当たりの付加価値額という指標で分析される。
 付加価値労働生産性 = 付加価値額 / 従業員数(円)
資本生産性
労働生産性は、労働集約的な企業では有効な指標となるが、資本集約的な企業では大規模な設備により極めて少ない人数で生産しており、従業者数が少ないだけに高い比率となってしまう為、あまり意味を持たなくなる。こうした資本集約的な企業では、労働生産性の代わりに資本生産性が分析される事になる。この指標は、資本投入に対して得た付加価値の割合を計算で求める。
 資本投資効率 = 付加価値額 / 総資産 :総資本の投資効率
 設備投資効率 = 付加価値額 / 有形固定資産 :有形固定資産の投資効率
 機械投資効率 = 付加価値額 / 設備資産 :設備資産の投資効率
労働分配率
企業が得た付加価値は、例えば、人件費、配当、設備投資、内部留保というようにさまざまな形に分配されることになる。付加価値の分配で最も大きい金額となるのは人件費である。その適正度を分析するのが労働分配率である。
 労働分配率 = 人件費 / 付加価値額 × 100(%)

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