市場均衡理論
■市場均衡と均衡過程
■市場均衡
市場均衡とは、ある財における消費者の需要と生産者の供給が市場取引によって均衡し、その財の取引価格Pと取引数量Qが決定する事。市場は、自動的に均衡し、このとき社会的な効率性が最大化する。これを市場メカニズムまたは、価格メカニズムという。
市場メカニズムによる市場均衡過程のグラフでは、通常縦軸が価格Pで横軸が取引数量Qとなる。また、需要曲線Dは、右下がりの曲線となり、供給曲線Sは、右上がりの曲線となる。
■市場の調整過程と安定条件
均衡に至る市場を安定市場という。
均衡に至らない市場を不安定市場という。
①ワルラスの調整過程による安定条件 |
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ワルラスの調整過程とは、価格による調整過程の事をいう。 ワルラス的安定条件: 1/S > 1/d |
②マーシャルの調整過程による安定条件 |
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マーシャルの調整過程とは、数量による調整過程の事をいう。 マーシャル的安定条件: S > d |
③くもの巣の調整過程による安定条件 |
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くもの巣の調整過程とは、数量と価格の調整がタイムラグで発生する調整過程の事をいう。 くもの巣的安定条件: |S| > |d| |
■余剰分析
■余剰(Surplus)サープラス
Surplusとは、ある市場が均衡状態に入った時に各経済主体が財の取引に関して感じる「オトク感(便益)」の事をいう。
なお、消費者余剰と生産者余剰を合計したものが社会的余剰となる。社会的余剰は、総余剰または、社会的厚生ともいう。
■死荷重
消費者と生産者しか存在せず、特に規制などもなく自由意思による取引を自由経済による取引という。社会的余剰は最大化している。これに対し、最大化している社会的余剰が減少した場合の余剰の減少分の事を死荷重という。死荷重は、社会厚生の損失、または厚生損失ともいう。
①規制 |
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政府による販売価格の規制や生産数量の規制、また、輸入価格や輸出数量の規制などがある。 |
②税収 |
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政府による税収の介入があった場合 従量税:煙草の一本当たりいくらという税額 従価税:消費税の様ないくらに対して○%という税額 |
③不完全市場 |
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市場が不完全の場合 独占市場や外部効果が発生している市場等。 |
■エッジワーク・ボックスとパレート最適
■エッジワーク・ボックス
エッジワーク・ボックスとは、2人の経済主体の財の交換(2者2財の取引)により、社会的効率性が最大化する事を2人の無差別曲線を組み合わせたツールで確認するものである。
①エッジワーク・ボックスの作成と初期保有点
②市場取引と効用の変化
それぞれ希少性の低い財を相手に渡し交換する事を市場取引という。社会全体の財の量は変化していないにもかかわらず、交換によって社会全体の厚生が高まっているのである。
③交換の終了
A氏もB氏も焼き鳥とビール10本ずつ交換した時に交換は終了する。
■パレート最適
これ以上交換しても社会全体の厚生が高まらない状態。言い換えれば社会全体の厚生が最大化している状態をパレート最適の状態という。
2者の無差別曲線が接している点をつなぎ合わせた曲線を契約曲線という。
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